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競技レポート

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鈴木と富田が銀!東海林が銅 パラ競泳世界選手権2019

銀メダルを獲得した鈴木(撮影:越智貴雄)

 ロンドンで開催されているパラ競泳の世界選手権。大会最終日の15日(現地時間)、日本チームキャプテンの鈴木孝幸(ゴールドウイン)が男子50m自由形(SB3=運動機能障がい)で自身4つ目の銀メダルを獲得。また、男子400m自由形(S11=視覚障がい)では初出場の富田宇宙(日体大大学院)が前日の男子100mバタフライ(S11)に続く自身2つ目の銀メダルとなった。

キャプテン鈴木は全5種目でメダル獲得

レース前、胸に手を当て集中する鈴木(撮影:越智貴雄)

 7日間で5種目10レースを泳ぎ終え、ミックスゾーンに現れたキャプテンの表情には清々しさを感じる“納得”の表情があった。

 最終種目となった50m自由形。午前に行われた予選では決勝のために「抜くところは抜く」泳ぎだったものの、2位に1秒41差の54秒07でトップでゴール。全体でも3位で決勝進出を決めた。

「タイムよりも、ポジションなど細かいテクニックの部分を確認しながら、いい感覚で泳ぐことができた」と予選では好感触を掴んでいることを示し、「(決勝は)48秒台前半あるいはもう少し速いタイムでの勝負になるかな」と語った。

 その鈴木の予測通り、午後の決勝では高レベルでの金メダル争いが繰り広げられた。

 最初の5mでトップに立った鈴木だったが、午前の予選では48秒24の好タイムを出したエフレム・モレッリ(イタリア)がすぐ後ろに迫っていた。そして、15m付近では横一線に並ばれ、そこから激しいトップ争いが行われた。

 水しぶきで相手の存在を感じていたというが、それでも「気にせずに自分のレースに集中していた」という鈴木。最後まで焦ることなく、自分の泳ぎを貫いた。しかし、25m付近から徐々に鈴木を突き放したモレッリは、世界新記録の47秒49で優勝。鈴木は遅れること1秒34差の48秒83で2位となった。

今大会自身初となる金メダルでの有終の美とはならなかったが、疲れが残っていた中で狙っていた「48秒台」をしっかりとマークしての銀メダル獲得に、鈴木は「ぎりぎりの合格ライン」と語った。

 今大会、東京パラリンピック代表の内定には至らなかった鈴木だが、それでも全5種目でメダル(銀4、銅1)を獲得。そのうち3種目で自己ベストを更新し、世界トップレベルで戦う実力を証明してみせた。

「レースがなかった初日を除いて6日間で5種目というタイトなスケジュールの中で、銀メダル4つというのは良かったかなと思います。ただ、金メダルを取ることができなかった悔しさはあります。来年は、今大会で銀メダルだった種目が金メダルになるように、これからしっかりとトレーニングしていきたいと思います」

富田、“納得”と“悔しさ”入り混じる自己ベストでの銀

決勝の会場に姿を現し、ポーズをとる富田(撮影:越智貴雄)

 今大会初出場の富田は、世界ランキング1位で最も得意とする400m自由形に臨んだ。午前の予選では、1組目で2位に8秒45差をつける圧倒的な泳ぎを見せた富田。「はりきりすぎないようにと思い、リラックスして泳いだ」中での4分43秒82は「思ったよりもいいタイム」だったと語り、疲労が残る中でも調子の良さをうかがわせた。

銀メダルを獲得した富田(撮影:越智貴雄)

 しかし、その富田を上回る強豪が現れた。全盲クラスであるS11では、周囲を視覚で確認することができない。そのため相手との駆け引きはなく、ある意味、自分との戦いとなる。富田も自己ベストを狙うことだけを考えていた。それでも隣のレーンを泳ぐ20歳の中国の新鋭フゥア・ドンドンとは泳いでいる途中には接触したことで、彼にリードされていることを感じていたという。

 それでも富田は「最後に引き離す自信はあった」と語り、その言葉通り、残り50mの最後のターンで並ぶと、そこから引き離し、最後は体一つ分以上、2秒以上の差をつけて勝利。4分32秒90は自己ベストを更新する好タイムだった。

 だが、その富田の4秒以上前にゴールしていた選手がいた。オランダの20歳、ロジャー・ドースマン。4分28秒64の世界新記録を樹立しての金メダルに輝いた。

「金メダルを狙っていたので悔しさはありますが、ロジャー選手の28秒台というのは今の僕には出せないタイム。ただ目指している部分ではあるので、今後、彼を上回れるように細かい技術的なところを一つ一つ見直していきたい」

 また、男子100mバタフライ(S14=知的障がい)では、東海林大(三菱商事)が前日世界新で獲得した200m個人メドレーでの金メダルに続く銅メダルを獲得した。

 今大会で金メダルに輝き、東京パラリンピックの代表が内定したのは、S11(視覚障がい)の木村敬一(東京ガス)、S14の山口尚秀と東海林の3人となった。また、今大会のメダルランキングで日本は13位(金3、銀7、銅4)。トップは20個の金メダルを量産し、計50個(銀18、銅12)を獲得したイタリアとなった。

(文・斎藤寿子)

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