ロンドンの地でパラ競泳の世界選手権が開幕! パラ競泳世界選手権2019
現地時間の9月9日、ロンドンでパラ競泳の世界選手権が開幕した。7年前に“史上最高のパラリンピック”と謳われるほど熱狂に包まれたロンドンパラリンピックが行われたオリンピック公園内のアクアティクスセンターには、世界各国からトップスイマーたちが集結。各種目で上位2人には、その選手の国・地域に出場枠が与えられる重要な大会となっている。
日本のエース木村の前に新たなライバルが出現
初日には9人の日本人選手がレースに臨み、4人が午前の予選で上位8人に入り、午後の決勝に進出した。
リオデジャネイロパラリンピックで銀メダルを獲得し、今シーズンの世界ランキングも2位につけていた種目の男子50m自由形(S11=視覚障害)に臨んだ木村敬一(東京ガス)は、今大会最初の出場枠獲得に大きな期待が寄せられた。26秒77の全体4位で通過した予選では「進みは悪くはなかったが、テンポがあまり良くなかったので、決勝ではもう少し強めの刺激を入れて泳ぎたい」と語っていた木村。約8時間後に行われた決勝では26秒57とタイムを上げたものの、タッチの差で惜しくもメダルを逃し4位となった。
木村は「自己ベストを狙っていたので、順位というよりもタイム的に納得がいってない。ベストを出していれば勝てたレースで、相手がどうこうというよりも自分自身」とレースを振り返った。
わずか0.4秒の間に4人がひしめき合う混戦模様となった今回のレースで、木村を上回り、メダルを獲得した上位3人はいずれもリオパラリンピックには出場していない20歳前後の新鋭ばかり。リオの金メダリストが出場していない今レースで、木村の前に新たなライバルが出現したことになる。
しかし、現在のメインはバタフライと平泳ぎの100mで、この2種目に力を入れて練習してきたという木村。「金メダルが狙える種目なので、今日以上に集中してやるだけかなと思っています」と静かな闘志を燃やしていた。
初出場の辻内が自己ベスト更新で納得の8位入賞
女子400m自由形(S13=視覚障害)に臨んだ世界選手権初出場の辻内彩野(三菱商事)は、決勝で4分52秒32の自己ベストをマークし8位入賞。「小さな更新ですが、1年間かけてようやく達成できたものなので、いい収穫になりました」と笑顔を見せた。
女子50m自由形(S5=機能障害)では、過去パラリンピックに5大会出場している成田真由美(横浜サクラ)が41秒70で8位入賞。狙ったタイムが出ず、「感覚的には予選よりも強く泳げていたので、もう少しいいタイムが出ると思っていただけに残念。明日の200m自由形は大きな泳ぎをしていきたい」と語った。
6年ぶりの世界選手権となった石浦智美(伊藤忠丸紅鉄鋼)は、女子50m自由形(S11)に出場し、予選を上回る31秒69で5位入賞したものの狙っていたメダル獲得とはならず「まだまだ課題がたくさんあるなと感じた」と悔しさをにじませた。
(文・斎藤寿子)