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競技レポート

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車いすテニス国枝は東京パラ内定、敗れた眞田「必ず追いつく」アジアパラ大会2018

試合開始前の握手 国枝 vs. 眞田 車いすテニス男子シングルス決勝戦(撮影:越智貴雄)

「国枝慎吾vs.眞田卓」
 4年前と同じく日本人対決となったアジアパラ競技大会(アジパラ)の車いすテニス・男子シングルス決勝。今年世界ランキング1位に返り咲いた国枝慎吾(ユニクロ)が、試合巧者ぶりを発揮し、6-2、6-3のストレート勝ち。女子シングルスを制した上地結衣とともに、2年後の東京パラリンピック出場権を手にした。

国枝のサーブ 車いすテニス男子シングルス決勝戦(撮影:越智貴雄)

【チャンスを確実にモノにした国枝】

「前回はシングルスで銀メダル、ダブルスで金メダルでした。一方の国枝さんは金2つ。今回は逆転して、僕が2つの金メダルを取って東京に向かいたいと思います」
アジパラについての抱負をそう語っていた眞田卓(凸版印刷)。この日、頭に白い鉢巻をしたその姿からは、胸の内にある静かな闘志が映し出されていた。

 一方、国枝もまた調子を上げてきた今大会の眞田を十分に警戒していた。
「力を出し切らないと勝てない。だから最初からエンジン全開でいきました」
第1セットの序盤は、そんな2人の気持ちを表すかのように一進一退の攻防が続いた。

 1ゲーム目に眞田がいきなり国枝のサービスゲームをブレークすると、2ゲーム目には今度は国枝がブレークバック。続く3、4ゲーム目も互いにブレークしあい、ゲームカウント2-2。試合の流れがどちらにいくのかは、この時点ではまったくわからなかった。

 しかし、5ゲーム目にして初めて国枝がサービスゲームをキープすると、ジュースまでもつれこんだ6ゲーム目、眞田が大事なところでダブルフォルト。逆に2度目のゲームポイントで国枝は得意のバックハンドのダウン・ザ・ラインを決め、このゲームをブレーク。続く8ゲーム目もジュースまでいき、眞田が2度のゲームポイントを逃したのに対し、国枝は最初のチャンスで眞田の逆をついたバックハンドのストレートで決めてみせた。

 8ゲーム目、ラブゲームで眞田のサービスゲームをブレークした国枝が、2-6で第1セットを制した。

眞田のショット 車いすテニス男子シングルス決勝戦(撮影:越智貴雄)

【国枝の好守備に「完敗」】

 第2セット、なんとか流れを変えたい眞田は、1ゲーム目、相手のゲームポイントでネットに出た。しかし、国枝は見事なバックハンドのパッシングショットを決めてみせた。それでも眞田は攻めのテニスを続けた。会心のショットが決まるたびにガッツポーズし、大歓声を浴びた。

 ゲームカウント2-4で迎えた7ゲーム目、国枝がこの試合初めてダブルフォルトするなどし、眞田がラブゲームでブレーク。ゲームカウントは3-4となり、眞田にとっては流れを引き寄せる大きなチャンスの時だった。

 しかし、8ゲーム目、眞田は国枝にブレークを許してしまった。これでゲームカウント3-5。こうなると、王者は強かった。続く9ゲーム目、国枝は一気に勝負を決めにきた。ゲームカウント15-15から、まずは巧みなネットプレーでポイントを奪う。そして眞田のバックハンドのストレートがネットにかかり、マッチポイントを迎えた瞬間、「ウォー!」と自らを鼓舞するように雄叫びをあげた。最後は前に行きかけた眞田の後方に、フォアハンドのクロスショットを決め、国枝が東京行きの切符を手にした。

試合後の眞田 車いすテニス男子シングルス決勝戦(撮影:越智貴雄)

 試合後、眞田はこう振り返った。
「終始、オフェンシブルな攻撃をしたが、国枝選手のディフェンシブルなテニスをなかなか打ち破ることができなかったことが最大の敗因だったと思います。厳しいコースを突いて、国枝選手が攻撃しづらい展開にもっていったはずが、それを上回るディフェンスの強さに驚きました」

 そして、こう相手を称えた。
「この暑さという大変なコンディションの中で、あれだけ走って、ずっとつなぎ続けた国枝選手に完敗でした」

 潔く今大会での負けを認めた眞田だが、もちろん国枝に負け続けるつもりは毛頭ない。
「東京まであと2年あれば、必ず追いつけると思っていますので」
 早くも国枝に宣戦布告をした眞田。世界王座に君臨する「国枝慎吾」に勝ってこそ、東京での金メダルが見えてくる――。

(文・斎藤寿子)

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