ピアニストのような美しい手の動き “チェス” アジアパラ大会2018
4年に1度開催される、アジア最大の障害者スポーツの総合大会「アジアパラ大会」(6日から13日)がインドネシア・ジャカルタで開催されている。先に開催されたアジア大会では、五輪競技にない「eスポーツ」や「トランプ競技」などが行われ話題を呼んだが、アジアパラ大会でも、パラリンピックで行われていない「チェス」「テンピンボウリング」「ローンボウルズ」の3競技がある。
その競技の中で、ひときわ地元インドネシアが強いのがチェス。そのチェスには、視覚障がいのクラスと車椅子のクラスがあり、特に、視覚に障がいがある選手が行う種目が印象に残った。
アジアパラ大会で行われているチェスのルールは、一般のチェスと同じだが、視覚に障害のある選手が行う為のさまざまな工夫がなされている。チェス盤のマス目の真ん中に穴があいており、駒の底には突起がついているので、マス目の穴に差し込んで駒がずれないようになっている。また、手で触って白黒の駒を判別できるように白い駒の先端が削られているなどの工夫がなされていた。
手で相手の駒と自分の駒をさわり、瞬時にチェス盤の状況を把握しながら、相手の手を読みそして自分の手を打っていく。選手たちの手は、視覚の役割を補う役目をする。持ち時間が少なくなくなってくると、手の動きがさらに速くなり、まるで、鍵盤を弾き音色を奏でているピアニストのように見えてくる。細かく繊細にそして流れるような指と手の動きがとても美しい。
今大会の18競技中、日本人選手が唯一出場していないのがチェス。日本での認知度は低いが、今後の普及に期待したい。