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【東京マラソン 全文掲載】車いす男子 大会新で優勝の鈴木朋樹

日本橋付近を力走する鈴木選手(撮影:越智貴雄)

 東京マラソン2025が2日、東京都庁をスタートし、東京駅前・行幸通りをゴールとする42.195キロのコースで開催され、昨年のパリ・パラリンピック男子車いすマラソンで銅メダルを獲得した鈴木朋樹選手(トヨタ自動車)が、1時間19分14秒の大会新記録で優勝した。以下、記者会見全文。

記者会見全文

日本橋付近を力走する鈴木選手(撮影:越智貴雄)

──有力選手が出場していない状況で、今大会のご自身の中での位置づけや目標はどこにありましたか?

正直なところ、位置づけも、目標タイムもなかったです。昨年、パリ・パラリンピックで銅メダルを獲得して、気持ち的にもきつい状態が続いたので、次のロスに向けてっていうところを考えたときに、パリが終わってから少しゆっくりしました。そこでメンタル面をチャージして、次のロスに向けてっていうところであったので、冬の時期にすごい走り込めたかって言われると、走り込めていなかったです。
トラックの大会が2月にドバイでありまして、そこをポイントにしています。基本的なスイッチが入ればいいなと思ってドバイに行きましたが、結果的に、やっぱり陸上って楽しいなっていう気持ちが、また思えてきたので、今回の東京マラソンも正直、楽しく走って、そもそも出る予定だったジン選手、ダニエル選手と楽しいレースができればいいなっていう思いでいました。

力走する鈴木選手(撮影:越智貴雄)

──気持ち的にキツかったっていうのを、具体的に教えていただけますか?燃え尽き症候群のようなことがあったのでしょうか?

燃え尽きではなかったです。やはり東京パラリンピックが終わって3年しかない中で、無駄にしないように、パリにかけていたつもりです。金メダルが見えていた時ありますけれど、やはり自分がパリに臨んだ結果として、獲れた銅メダルっていうのは、しっかりやりきった結果だと自分は受け取ってます。そこに来るまでにすごく気持ちをすり減らしながらやってきたので、燃え尽きではなくて、もう達成感でそこから解放されたと言いますか。
次のロスでやっぱり獲るべきメダルは金か銀になってくるので、それをやるためには1回ここでリセットして、また更に気持ちをすり減らしながらやっていくわけではないんですけど、楽しくトレーニングに臨めればいいなっていうところだった。

──その中で大会新記録での優勝。ご自身の持つ日本記録には届かなかったですけど、今後のはずみになりますか?

正直、はずみになるかと言われたらわからないです。今大会に向けて、走り込んできたわけでもないですし、やはり金曜日のプレスカンファレンスで言ったように、見てもらってる人たちに楽しいレースがしたいっていうところです。ハーフまで一緒に行ける(走れる)選手がいなかった。一人になったときに気持ちを切り替えて、やはり大会新記録で走ることで、見てもらってる人にも楽しんでもらえるんじゃないかなという気持ちでした。本当に例えて言うと、冷蔵庫の残り物で今回弁当を作ってきたみたいな感じなので、そういう気持ちでしか走ってないです。

ゴール後、笑顔の鈴木選手(撮影:越智貴雄)

──次のパラリンピックを目指していく上で、自身に足りないもの、これからプラスしていかなければいけないものについてお聞かせいただけますでしょうか?

やはりマルセル選手(スイス)、ジン選手(中国)にあって自分にないものは、圧倒的なスプリント力というところだと思います。マルセル選手にあるのが、最高速のキープ力っていうんですかね。それがすごい良い部分だと思うので、そこに関して自分にプラスしていかなければいけない。プラスするためには、具体的にどうすればいいかっていったところで、やはり自分の身体のホームであったりとか、あとは細かい部分で言うとグローブだったり、そういった細かい部分を見直すことを、ロスに向けてやるためには、今年1年間は使っていかなきゃいけないと思っています。
車いす選手のグローブっていうのは、健常者のシューズとはまた違ったような、本当に少しの感覚で変わってきてしまうものですし、それを作っていくにはすごく時間がかかり、そこを見直していくことで少しでもスプリント力だったり、最高速のキープ力っていうところが強くなればいいなと思ってますし、あとは物理的に言えば回ってる車輪を、ブレーキをかけずに回すことができれば、確実に速く走ることができると思っていますので、それができるようなフィジカルの面だったり、あとは力の抜け感だったりとかっていうところを、今後強くしていかなければいけないなと考えてます。

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