鮮烈デビュー!元パラカヌー代表・小松沙季、やり投げ初戦で強化基準超え!ロサンゼルスへの第一歩【パラ陸上日本選手権】

やり投げ転向初戦で14メートル66センチをマークした小松沙季選手(撮影:越智貴雄)
国内最高峰の大会となるパラ陸上の日本選手権(大会初日)が26日、愛媛県松山市のニンジニアスタジアムで行われ、女子やり投げ(T54クラス)で小松沙季選手(電通デジタル)が、日本パラ陸上競技連盟が定める2025年度女子強化指定基準Bを超える14メートル66センチの記録で優勝した。

初試合、ずらりと並ぶやりから慎重に一本を選ぶ小松沙季選手(撮影:越智貴雄)
小松選手は、小学生の頃からバレーボールに打ち込み、高校時代には春高バレーに出場。大学卒業後はVリーグチームにも所属し、競技を続けていた。しかし、その後、突然の体調不良により両脚にまひを発症。2019年から車いす生活を送ることとなった。
持ち前の身体能力を生かしてパラカヌーに挑戦すると、本格的な競技開始からわずか半年で東京パラリンピックに出場し、準決勝進出。さらに昨年のパリ・パラリンピックでも日本代表に選出された。
そんな小松選手が新たに選んだフィールドがパラ陸上の「やり投げ」。競技転向後初の大会となった今大会で、いきなり一投目で、今年9月にインド・ニューデリーで開かれるパラ陸上の世界選手権の国内派遣標準記録(15メートル04センチ)に迫る投てきを見せた。4月7日には自身のSNSで「やり投げでロス・パラリンピックでのメダル獲得」を目標に掲げており、夢への第一歩を堂々と踏み出した形だ。

試合前、リラックスした笑顔を見せる小松沙季選手(撮影:越智貴雄)
試合後、小松選手は「試合に出るのは初めてで、すべてが勉強でした。バレーの癖で打点(球を打つ位置)が前になりがちですが、やり投げは横で離さなければいけないので、修正したいと思うところです。やり投げはシンプルな競技だけに、少しの改善で1メートル2メートル記録が伸びるのがすごく面白い」と手応えを語った。
パラ陸上でメダル獲得を目指す小松沙季選手。新たな挑戦の行方に大きな期待が集まる。
取材・文:越智貴雄