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日本が韓国に逆転勝利で金 残り1分14秒で劇的決勝ゴール/記者会見全文【男子車いすバスケ決勝・杭州アジアパラ大会】

優勝が決まり、喜び合う選手たち(撮影:越智貴雄)

 中国・杭州で開催されているアジアパラ大会第6日の27日、車いすバスケットボール男子の決勝が行われ、日本代表は韓国代表に47ー45で勝利し、金メダルに輝いた。

 20日の1次リーグで敗れた韓国へのリベンジマッチは開始早々、エース鳥海連志がフリースロー2本を成功させる。しかし、第2Qに入ると韓国のデフェンスに阻まれてシュートミスが相次ぎ、前半は19ー27と8点のリードを許して折り返した。

 完全に試合は韓国ペースかと思われたが、第3Qで日本が追い上げを開始して逆転に成功。その後は一進一退を繰り返しながら日本の3点リードで迎えた第4Qの残り1分29秒、粘る韓国が3ポイントシュートを決めて同点に追いつかれる。

 それでも日本は落ち着いていた。わずか15秒後、丸山弘毅が得意の右サイドからゴールを決め、再び勝ち越しに成功。残り時間は韓国の攻撃を防いで勝利した。

ボールをパスしようとする鳥海(撮影:越智貴雄)

 11得点をあげた鳥海は、「選手、コーチ、スタッフも含めてみんながこの大会に向けて長い時間を過ごし、それぞれを知ることができた。そうやって強くなってきた僕たちだからこそ、この大会で優勝できたと思う」と振り返った。

 京谷和幸ヘッドコーチは「今大会ではシュートが入らないことが多く、決勝もロースコアになることは覚悟していた。ディフェンスの強度を高くしていこうとはずっと言っていたので、40分を通していいディフェンスができたと思う」と語った。

 勝ち越しゴールを決めた丸山は、「(自らのゴールが)決勝点になりましたが、チーム全員で取った得点だと思う」と笑顔で喜んだ。途中出場ながら、9得点をあげてチームを勢いづけた古澤は「役割はゲームの雰囲気を変えることだった。ディフェンスを頑張ってスチールして、ファールをもらって、そこから良いリズムが取れた」と勝因を分析した。

 日本の今大会のテーマは「ディフェンスで勝つ」。準決勝のイラン戦に続く連日の逆転勝利で、今後のパリ・パラリンピックの予選に向けて勢いがついた。シュート成功率の低さなど課題も残したが、京谷ヘッドコーチは「今回の勝利は彼らの成長に繋がると思う」と話した。

試合終了後の記者会見全文は以下の通り

表彰式後、記念写真におさまる日本チーム。右端は京谷ヘッドコーチ(撮影:越智貴雄)

司会:これから記者会見を始めます。京谷ヘッドコーチ、お願いします。

京谷和幸ヘッドコーチ:こんにちは。このアジアパラ競技大会に出場でき、また目標だった金メダルを獲得できて、非常にうれしく思います。

昨日のイランとの準決勝、そして今日の韓国との決勝戦は非常に難しいゲームでした。日本の一番の武器とする「ディフェンスで勝つ」がこの2試合でできて、非常に満足しています。

また非常に素晴らしい会場で、多くの観客のみなさんに我々のプレーを見ていただいて、本当に幸せに思います。また、そういった雰囲気を作り出してくれた中国のみなさんには本当に心から感謝したいと思います。

最後に、我々は今回優勝できましたけれども、まだまだ課題も多く、次に向けて修正しなければいけないことがたくさんあります。次は(来年開催の)パリ・パラリンピック予選に向けて、チーム一丸となってまた頑張っていきたいと思っています。ありがとうございました。

後半、激しいプレーが続いた(撮影:越智貴雄)

司会:鳥海選手、お願いします。

鳥海連志選手:まずはこの大会に出場できたこと、そして大会を通して、みなさんに僕たちのプレーを見ていただけたことをうれしく思います。

この大会に向けて、チームは長い時間をともにしてきました。たまにぶつかり合うこともありながら、目標を持って練習を積んできました。

その中で僕たちが大切にしていたのが、「ディフェンスで世界に勝つ」というテーマです。予選では韓国に負け、チーム自体は苦しいところに落とされました。「ファイナルコートで韓国にディフェンスで勝つ」ということが僕自身もテーマでしたし、チームとしてそこに立ち向かえたことが、優勝につながったと思っています。

パリ・パラリンピックへの道は続きますが、本大会で得たもの、課題、僕たち自身が感じたもの。特にオフェンスの部分ではまだまだ成長できる部分があります。予選に向けて、またチームを強くしていきたいと思っています。ありがとうございます。

攻める古澤(撮影:越智貴雄)

──今大会で得た収穫と課題を教えてください。

京谷:まず課題としては、先ほど鳥海からもあったように、オフェンスの部分、特にシュート確率のところです。昨日の準決勝、今日の決勝もロースコアでした。ここは本当に取り組まなければいけないところですし、選手たちもよくわかっていると思います

あとはフリースローも東京パラが終わってからの課題としてあげていますが、なかなか成果が見られない。あと数ヶ月ですけど、真剣に取り組んでいく必要があります。

一方、収穫としては、今大会で新しいラインナップを試して、それがうまくいったことです。パリ・パラリンピック予選に向けて感触をつかめたので、それが一番の収穫かなと思っています。

──(外国メディアからの質問)合宿はどの程度の期間行ったのでしょうか。また、プロの選手とそうでない選手を一緒に束ねて、どのように目標に向かわせたのでしょうか。

京谷:合宿は、月に1度、5日間ぐらいで選手を集めて実施しています。この大会に入る前も4日間の合宿をして、この大会に入りました。

プロ選手は、隣に座っている鳥海、背番号55の香西がプロのプレイヤーです。他の選手は、企業に雇用されながらバスケットができる環境にあるので、合宿には比較的自由に集まることができる環境です。

あとは、鳥海を扱うのは非常に難しいです(会場笑)。

文:西岡千史

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