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佐々木真菜、東京パラへ!トラック内定第一号 パラ陸上世界選手権2019

東京パラリンピック内定を決めた佐々木(撮影:越智貴雄)

 11月7日(日本時間8日未明)、東京パラリンピックの出場枠がかかったパラ陸上の世界選手権がUAE・ドバイで開幕した。今大会で各種目4位以内に入賞し、出場枠を獲得した日本人選手は、東京パラリンピックの代表が内定する。その日本人第一号となったのが、女子400m(T13=視覚障がい)に出場した佐々木真菜(東邦銀行)だ。予選を全体2位で通過した佐々木は、夜の決勝で4位に入り、自身初となるパラリンピックへの切符を獲得した。

決勝でのアクシデントにも切らさなかった集中

佐々木は、午前に行われた予選では全体2位通過を決めた(撮影:越智貴雄)

「4位という結果で内定をいただけて、とても嬉しい気持ちでいっぱいです」
 走り終えた後のインタビューで、佐々木は爽やかな笑顔を見せながら喜びを口にした。

 東京パラリンピックへの切符がかかった大一番。その開幕初日、佐々木は日本選手団の先頭を切って、午前の予選に臨んだ。強い日差しが照り付ける中でのレースだったが、スタートから積極的な走りを見せ、最後のカーブを曲がり切った時には、2位につけていた。

 最後の100m、バックストレートでは大会前の自己ベストでトップの強豪とのデッドヒートを繰り広げ、粘り勝って2位でゴール。予選全体でも2位という納得の結果で決勝進出を決めた。

「かなりいい方向にきていると思います。決勝ではメダル獲得を目指せるように、しっかり記録を狙っていきたいと思います」

 2年前の世界選手権では同種目では6位と、「世界との差を感じた」という佐々木。その時の悔しさを糧にして練習を積み上げ、今大会では「絶対に結果を残す」という強い気持ちで現地に乗り込んできていた。

自身の名前がコールされ、佐々木は笑顔で手を振った(撮影:越智貴雄)

 午後8時。ライトアップされたトラックに8人のファイナリストたちが並んだ。自身の名前がコールされると、佐々木はテレビカメラに向かって笑顔で手を振った。その表情からも、高い集中力をもった落ち着きがうかがい知れた。

 アクシデントが起こったのは、その直後だった。選手たちがスタートラインに両手をつき、全員が一斉に腰を上げてスタートの号砲が鳴るのを待とうとした瞬間、佐々木の隣のレーンの選手がフライングを犯し、一発退場となったのだ。

 だが、このアクシデントにも、佐々木の心は乱れることはなかった。
「どんな試合でもああいうことは当然あると思っているので、慌てずに自分のことだけを考えていました」

悔しい「4位」嬉しかった「内定」

最後の最も苦しい100m、佐々木は残っていたすべての力を振り絞った(撮影:越智貴雄)

 そして、ついにスタートの号砲が鳴り、佐々木は東京パラリンピックへの扉に向けて、勢いよく飛び出した。だが、予選の時のような納得したスタートではなかったという。それでもすぐに気持ちを切りかえ、「前半でスピードに乗り、後半の粘りにつなげる」というテーマを持って走り続けた。

 最後の最も苦しい100m、佐々木は残っていたすべての力を振り絞り、並んでホームストレートに入ってきた選手たちを引き離して4位でゴール。世界最高峰の舞台への扉をこじ開けた。

 しかし、「4位」という結果を知った時、まず最初に佐々木が感じたのは“喜び”ではなく“悔しさ”だった。

「私の目標はあくまでもメダルだったので、悔しいなという思いがありました」
 この貪欲さが佐々木を強くしてきた所以なのだろう。

 そんな悔しさの次に出てきたのは、やはり喜びだった。
「でも、4位で内定をいただけて、これまで支えてきてもらった人たちにはいい報告ができたんじゃないかなと。なので、ゴール後にトラックに向かっておじぎをしてきました」

 今大会での悔しさは、来年の“本番”で晴らすつもりだ。

「来年の東京パラリンピックでは、金メダルを目指して、57秒台、56秒台に届くタイムが出せるように頑張りたいと思います」

 日本人内定第一号となった佐々木の走りが、明日以降の日本選手団への追い風となるに違いにない。

(文・斎藤寿子)

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