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鈴木孝幸、銀メダルで日本パラ競泳初の東京パラ出場枠獲得 パラ競泳世界選手権2019

男子100m自由形決勝(S4)、勢いよくスタートする鈴木(撮影:越智貴雄)

 ロンドンで開催されているパラ競泳の世界選手権。大会2日目の10日(現地時間)、男子100m自由形(S4=運動機能障がい)で鈴木孝幸(ゴールドウイン)が銀メダルを獲得した。今大会、日本選手団のキャプテンを務める鈴木。リーダ―自らが先陣を切って、日本パラ競泳界にとって初の東京パラリンピック出場枠を獲得した。

感覚とは真逆だった決勝前半の好タイム

 今年4月のイギリス・グラスゴーで行われた大会で100m自由形の世界記録をマークした鈴木は、世界ランキング1位として今大会に臨んだ。午前に行われた予選では、2位に2秒16差をつけてのダントツのトップで50mのターンを折り返すと、後半は決勝に体力を温存するためなのだろう、「少し流した」という鈴木。それでも1分24秒を唯一切る圧倒的な強さを示し、1分23秒67という好タイムの全体1位で予選を通過した。

 決勝は、現地時間午後7時半過ぎに始まった。前半は予選を上回る38秒88で泳ぎ、トップで折り返すも、隣のコースを泳ぐロシア人選手がわずか0.17秒差に迫っていた。

 勝負となった後半、2人のデッドヒートが繰り広げられた。その結果、軍配が上がったのはロシアの21歳の若き新鋭だった。予選のタイムを3秒以上上回る驚異的な速さを見せ、鈴木が持つ世界記録を0.45上回る1分21秒28で金メダルを獲得。鈴木は自己ベストを更新することができず、1分22秒38で銀メダルとなった。

 鈴木はレース後、前半に少し飛ばし過ぎたことが、後半に伸びを欠いた要因と分析。だが、「自己ベストを更新できなかったこと、金メダルを取れなかったことは残念」としながらも、鈴木はすべてをプラスに捉えていた。

「初めてS4クラスの自由形で世界選手権のレースに出場し、そこでメダルを取れたことについては嬉しい。前半は自分の感覚では少し遅いかな、と思っていた。でも、実際は速すぎて、後半に伸びが出なかったのかなと。ただ、水をよくつかめているからこそ、結果的に速くなったと思うので、それはいいことでもある。ポジティブに捉えて、次のレースではそこをきちんと計算して臨みたいと思います」

 この種目での世界トップの座は譲ったが、鈴木にはもう一つ世界ランキング1位の種目がある。大会5日目の13日(現地時間)に行われる男子50m自由形だ。

「今日の100mのレースでは前半は優勝したロシア人選手よりも速く泳げたということで、そこの隙をつきたいと思っています」

 3日後、今日のレースの雪辱を果たすつもりだ。

(文・斎藤寿子)

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