デフサッカー日本代表の西大輔がヴェルスパ大分と契約更新!
JFLヴェルスパ大分は12月23日、MF西大輔選手との契約更新を発表した。
デフサッカー日本代表としても活躍する西選手は、生まれつき聴覚に障害を持つ。補聴器を外すと周囲の音はほとんど聞こえず、背後でクラクションを鳴らされてもまったく気付かないという。
しかし、その歩みは目を瞠る。徳島に生まれ、父の影響で物心がつく頃には当たりまえのようにボールを蹴っていたサッカー少年は、ナショナルトレセン四国U-12を経て徳島ヴォルティスジュニアユースから徳島商業高等学校へと進み、実績を重ねた。2013年には徳島県U-15優秀選手に、2016年には徳島県U-18優秀選手にも選ばれている。高3の夏に現在所属するヴェルスパ大分に練習参加し、昨年卒業とともに加入した。
ポジションはおもにサイドハーフやFWを務める。背後への鋭い動き出しとサイドからのドリブル突破を得意とするチャンスメイカーだ。平日はチームのスポンサー企業で働き、仕事を終えてトレーニングに合流する。
チームに加入して2年、リーグ戦の出場は一度もない。それでも「期待を込めて契約しました。試合に絡めるよう頑張ってほしい」とクラブ関係者が話すように、今後の活躍が期待されている。
西選手自身もまた、来季への想いは強い。
「ヴェルスパ大分に入団してからの2年間、周りの音や声が聴こえないなかでプレーする難しさを感じることが多くなり、また怪我で練習すらまともにできない時期もあって、もう無理なのかと夢を諦めかけたときもありました。でも、いまはこうしてサッカーができていることに感謝し、悔しい経験をバネに大きな目標を叶えたいと思っています。来季は1日1日をより大切にし、貪欲に練習に取り組みたい。そして試合に出場し、よい結果を出して、飛躍の年にしたいと思っています」
JFLの2018シーズンを終えると、12月22日から24日に行われたデフサッカー日本代表合宿(佐賀県・嬉野市)に招集された。佐賀大学との練習試合では2日連続ゴールも挙げている。
「大きな目標」に垣根はない。
「デフサッカーでの目標は、世界大会でメダルを獲得すること。そして1人でも多くの方にこの競技の魅力を知ってもらいたい。またヴェルスパ大分で結果を出し、将来的には聴覚障害者初のJリーガーになるという幼い頃からの夢を叶えたい。自分が新しいことに挑戦していくことで、ひとりでも多くの方々に夢や希望を持っていただけたらうれしいです」
いちサッカー選手として、西選手はさらなる未来をしかと見据えている。
文:隈元大吾