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人間と機械が融合したサイボーグ世界大会「サイバスロン2024」が開幕!

電動義手レース予選、タスクに挑むBionIT LabsチームのSalvatore De Cillisさん(撮影:越智貴雄)

 人工知能搭載の義足や義手、階段の昇降が可能な電動車いすなど、最先端の技術を使用して行う競技大会「サイバスロン2024」が25日(現地時間午前)、スイス・チューリッヒのスイスアリーナで開幕した。会場はスイスアリーナと、アジア、欧米・アフリカの国々のサテライト会場とオンラインで繋がれ、同時開催される。

 サイバスロンという近未来的な名称は、サイバー(機械工学)とアスロン(競技)を組み合わせた造語。今大会には日本を含む26ケ国から76チームが参加。前回大会までの6種目に加え、重度の視覚障がい者向けのスマート視覚支援技術を使ったレースと、重度の上肢・下肢障がい者向けの支援ロボットを使ったレースの2種目が新たに加わり、計8種目で行われる。

サイバスロンとは?

支援ロボットレース予選に出場し、タオルをかけるタスクに挑んだEDANチームのMattias Atzenhoferさん(撮影:越智貴雄)

 サイバスロンは、2016年にチューリッヒで第一回大会が行われ、4年に一度開催される国際大会で、今回が3回目の開催。スイスのチューリッヒ工科大学が主催する非営利プロジェクトで、障害のある人の日常生活に適した支援技術の開発促進を目的としている。

 競技は、パイロットと呼ばれる障害のある競技者と、大学や企業、NGOの技術開発者がタッグを組み、最新の支援技術を駆使して、日常生活に関連する複数のタスク(決められた課題)に挑む。タスクをクリアするごとにポイントが加算され、ポイントが同じ場合は、タイムで順位が決まる。

 障がい者が参加する競技大会という点ではパラリンピックと似ているが、サイバスロンの特徴は、最先端の技術や機械を活用する点だ。下半身が麻痺している競技者がパワードスーツを着用して階段を上り下りする姿や義手を使って洗濯物を干す様子、義足で岩の上でバランスを取る技術などが披露される。

 サイバスロンに参加するためには、パイロットと補助器具が種目ごとに定められた参加資格を満たしている必要があり、パイロットと技術者が一体となって競技に挑む点では、F1などのモータースポーツに近い特徴がある。

日本からも2チームが参加!観戦方法は?

電動義足レース予選。岩の上でバランスを取るREHAB TECH LEGチームのAndrea Modicaさん(撮影:越智貴雄)

 今大会には、世界中から76のチームが参加。日本からは和歌山大学のチームが視覚障がい種目に、大阪電気通信大学のチームが電動車いす種目に出場。パラリンピックの競技用義足で知られるオットーボック(ドイツ)やオズール(アイスランド)は、電動義足種目に参加する。

 大会は27日までの3日間。競技の模様は、サイバスロンの公式サイト(www.cybathlon.com)でライブ配信され、国際手話通訳や、ドイツ語・英語の解説に加え、英語・ドイツ語・中国語・日本語・フランス語・イタリア語・韓国語・ポルトガル語の字幕が用意される。

取材・文:越智貴雄

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