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【車いすラグビー】事故死した3人の友に捧げた金メダル「亡くなった友が背中を押してくれた」──パリ・パラリンピック第6日

キャプテンの池は、メダルセレモニーで首にかけられた金メダルを天に向けて掲げた(撮影:越智貴雄)

パリ・パラリンピック第6日の9月2日(日本時間3日未明)、車いすラグビーの決勝がシャンドマルス・アリーナで行われ、日本代表は米国代表に48ー41で勝利した。日本はリオ大会と東京大会で2大会連続銅メダルだったが、パリで同競技で初となる金メダルを獲得し、悲願を達成した。

今大会を通じて一貫して光っていたのは、日本のチームワークの良さだ。キャプテンの池透暢や池崎大輔らベテランが積極的に若手が活躍しやすい雰囲気をつくり、大舞台でミスをしてもみんなで励まし合ってカバーし、激戦を制してきた。

決勝戦でも素晴らしい活躍を見せた池(撮影:越智貴雄)

この日、両チーム最多の19得点を挙げた橋本勝也は、準決勝の終了後に「このチームは僕にとっては家族のような存在。金メダルを獲得して、最高の家族になる」と話していた。その言葉とおり、最終ピリオドを終えるホイッスルが鳴った瞬間、12人の選手とスタッフ、そして日本だけではなく世界中からパリに駆けつけた大応援団が、一つの家族になった。

メダルセレモニーでは、金メダルを首にかけられた池が、そのメダルを天に向けて掲げた。池は19歳の時の自動車事故で、同乗していた友人3人を亡くしている。今では会うことのできない友に、世界一の称号を捧げた。

池選手(中央)(撮影:越智貴雄)

「(事故で自身が障害者になって)たくさんの奇跡のような瞬間を僕にくれた。それはもしかしたら、(亡くなった友が)背中を押してくれたのかなと。そのことをこの大会ですごく感じました。奇跡は起こせると思って、信じてやってきました」

事故で全身の7割以上に火傷を負い、2年半で40回以上の手術を受けた。左足を切断し、左腕の感覚も失った。それから25年、奇跡は起きた。

(西岡千史)

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