カンパラプレス

ニュース

ニュース

車いすラグビーを徹底解説!ルールと見どころを紹介

アメリカチームの攻撃を強烈なタックルで阻止した池崎(左)(撮影:越智貴雄)

激しいタックル音が響く車いすラグビーは、パラリンピック競技の中でも特に注目される競技の一つです。

選手たちは専用の車いすに乗り、激しくぶつかり合いながらも緻密な戦略を駆使して得点を狙います。

ルールや見どころを知れば、その奥深さに驚かされること間違いなしです。

この記事では、初心者でも楽しめる車いすラグビーの魅力を徹底解説します。

パリでパラリンピック3大会連続で日本代表のキャプテンを務める池(撮影:越智貴雄)

車いすラグビーは、車いす競技の中でも特に激しい衝突が特徴的なスポーツです。その激しさゆえ、「マダーボール(殺人球技)」との異名を取り、選手たちは猛烈なタックルを繰り広げます。

選手たちが使用するのは、通常の車いすとは異なる「ラグ車」と呼ばれる、約15~20キロの頑丈な車いす。

試合中、選手たちが相手にタックルを仕掛け、車いす同士が激しくぶつかる音がコートに響き渡ります。その迫力に、観戦者は一瞬で引き込まれることでしょう。

世界ランキング1位のオーストラリアの主力、ライリー・バッド。戦車の異名を持つ(撮影:越智貴雄)

知っておきたいルール

コートはバスケットボールと同じ広さで行われ、ボールはバレーボールの5号球を元に開発された専用球を使用します。

試合は4対4で行われ、選手の交代には制限がありません。

攻撃側の選手は「アタッカー」、守備側は「ブロッカー」として、戦略的な駆け引きを繰り広げます。

アタッカーは素早く相手のブロックをかわし、ボールを持ってトライラインを目指します。一方、ブロッカーは相手の車いすにプレッシャーをかけ、動きを封じる役割を担います。

試合は1ピリオド8分の4ピリオドに分かれて行われます。

特に特徴的なのが、選手の障害の程度に応じて持ち点が決められている点です。
障害の一番重い選手は0.5点、最も軽い選手は3.5点といった具合に0.5点刻みで7段階の点数がつけられています。1チームの選手の持ち点の合計は8点以下にする必要があります。男女混合でチームを編成することができ、コート上に女性選手が加わる場合は、持ち点の合計に0.5点追加されます。

障害の軽い選手も重い選手も一緒に戦えて活躍できるスポーツです。

激しいタックルは、車いすラグビーの醍醐味だ(撮影:越智貴雄)

車いすラグビーの見どころ

最大の見どころは、激しいタックルとスピード感あふれるプレイです。

攻撃側が40秒以内にトライを決めなければならないという時間制限のルールがあり、スリリングな展開が続きます。さらに、男女混合のチーム編成も見どころの一つです。

ここで、いくつかの車いすラグビートリビアを紹介します。

1. 金額は150万?!

「ラグ車」実は高いんです。車いすと、車輪の部分であるホイールと合わせると、安くても130万、高いと200万円を超えるものもあります。またパンクなどで競技中にホイールの交換が必要になると予備も必要です。ホイールは1本で10万近くします。こだわればこだわるほど、金額がどんどん膨れ上がることになります。 車が買えちゃえますね。

2. ラグ車は、どこで作られている?!

日本ではニュージーランドとアメリカのメーカーの車いすを使っている選手が多く、他にはドイツのメーカーなどもあります。関係者によると、昔は日本でも作られていたのですが、需要が少ないことや、この3国が硬い頑丈な金属の加工を得意としていることで今では作られていないそうです。

3. 攻撃用車いす(オフェンス車)

車いすラガーマンの中でも、比較的、障害の軽い選手が使用。アルミ製でできていて、とにかく頑丈。重さはなんと20kgにもなります。

4. 防御用車いす(ディフェンス車)

車いすラガーマンの中でも、比較的、障害の重い選手が使用。相手のルートを封じ 込めたり止めたりする為に前部にバンパーが取り付けられ、全長が長くなっているのが特徴。チタン製のフレームが多く、頑丈さはそのままに軽量化が図られています。障害の重い選手にとって、動き出しのスピードをより速くする為に軽さは重要なのです。

5. 「ラグ車」の耐用年数は?!

「ラグ車」は、半年使ってようやく選手の動きに馴染むと言われていますが、強い衝撃が加わる為に耐用年数は1年から1年半程度。パラリンピックなどの大きな大会の前には新車を購入する選手も多いそうです。

この競技を一度観戦すれば、選手たちの戦略や駆け引き、そして何よりもその情熱に心を奪われることでしょう。車いすラグビーは、障害を持つ人だけでなく、観戦する全ての人に興奮をもたらすスポーツです。一度見れば、きっとこの競技の虜になるはずです。

大会スケジュール(現地時間)

8月29日(木)
11:30 オーストラリア vs. イギリス
13:30 アメリカ vs. カナダ
17:30 フランス vs. デンマーク
19:30 日本 vs. ドイツ

8月30日(金)
11:30 イギリス vs. デンマーク
13:30 アメリカ vs. 日本
17:30 ドイツ vs. カナダ
19:30 オーストラリア vs. フランス

8月31日(土)
11:30 ドイツ vs. アメリカ
13:30 デンマーク vs. オーストラリア
17:30 カナダ vs. 日本
19:30 イギリス vs. フランス

9月1日(日)
11:30 プレーオフ(5位以下)
13:30 準決勝
17:30 プレーオフ(5位以下)
19:30 準決勝

9月2日(月)
11:30 7位決定戦
13:30 3位決定戦
17:30 5位決定戦
19:30 決勝戦

page top