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地味に見えて面白い… パラスポーツ「ボッチャ」にハマる人が増えている理由

熱戦を繰り広げた、横浜市の小学校6年生チーム「HRDM(ハードゥン)」の生徒たち(撮影:越智貴雄)

 障害のあるなしに関係なく、誰でもパラスポーツを楽しむことができる「第2回 神奈川県民パラスポーツ大会 in 横浜 リターンズ」が19日、横浜市役所アトリウムで開催された。会場には、パラリンピックの正式種目である「ボッチャ」のコートが設けられ、総勢18チーム・68人の選手たちが熱戦を繰り広げた。

 ボッチャは、脳性まひなど重度の障がいのある人のために考案されたスポーツで、赤と青のボールを6球ずつ投げ合い、的となる白いボールにどれだけ近づけられるかを競う。ボールを投げる技術やゲーム戦略が勝敗を分けるが、初心者でも少し練習をすれば楽しめるようになるのも特徴だ。誰でも親しみやすいパラスポーツとして、全国各地で大会を開催する動きが広がっている。

 この日も、子供たちが大人のチームに勝利する場面が何度もあった。スーパーショットが出るたびに大きな歓声が上がり、敵味方に関係なく拍手が巻き起こった。4位に入った横浜市立の小学校6年生チーム「HRDM(ハードゥン)」は、学校の休み時間にパソコンルームで練習を重ね、この日の大会に挑んだ。選手として出場した小学生は「最初は緊張したけど、とても楽しかった。次の大会もまた参加したいです」と話した。

優勝した「Team MINAMI」のメンバーたち(撮影:越智貴雄)

 優勝したのは、市立本牧南小学校の教職員による「Team MINAMI」。当初は優勝を目指して出場したわけではなかったが、予選第1試合が延長戦となり、野球経験者の奥野弘佑さんが一球勝負のサドンデスに勝利。チームにはバスケットボール経験者など球技を得意とする選手もいて「これで勢いがついていけると思った」(奥野さん)。

 本牧南小では、ボッチャを通じてパラスポーツを広める取り組みも進めている。同校の教員で、選手として出場した大谷美奈子さんは「学校でボッチャの体験をしたとき、スポーツが苦手な子が、競技を楽しんでいたのに感動しました」とボッチャの魅力を語った。

大会を主催した、パラ銀メダリストの上原大祐さん(中央)と参加した子供たち(撮影:越智貴雄)

 大会を主催したNPO「D-SHiPS32」の上原大祐理事長は、開催した理由を「東京オリンピック・パラリンピックを前にいろんな競技の体験会が開催されていたけど、その場限りの1回で終わってしまったことが多かった。体験会を経験した小学生や中学生が目指せる場所を作りたかった」と説明する。

 上原さんはパラアイスホッケーの元日本代表で、2010年のバンクーバー・パラリンピックで銀メダルを獲得した。選手を引退してから目指しているのは「パラスポーツの日常化」だ。障害のあるなしに関係なく、パラスポーツの面白さを体験して、広める人が増えることが大切だと考えている。前出の大谷さんも、「今後は学校主催のイベントなどを通じて、ボッチャの面白さを広めていきたい」という。現在、D-SHiPS32はパラスポーツを広める大会を全国展開中だ。11月26日には長崎市でボッチャの大会が開催される。

取材・文:西岡千史

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